Click to Play

巣鴨に住む 新米コンサルタントのブログです。

センター試験廃止をその導入から振り返る(2)

▼シリーズ物です。

buffalo.hatenadiary.com

元々目指した理想「バカロレア

おフランスには「バカロレア」という制度がある。

なんと、1808年にナポレオンが導入してから現在でも続いているというのだからビックリなのだが、この制度こそが共通一次試験の理想の姿であった。

バカロレアとは、一種「大学入学資格検定」のようなものであるし、「学士」のような資格のことである。

フランスのバカロレア (:baccalauréat) は、フランス教育省が発行する、中等教育レベル認証の国家資格である。1808年にナポレオン・ボナパルトによって導入され、2005年の時点では18歳に達したフランス国民の62%がバカロレアを取得している。

バカロレア (フランス) - Wikipedia

 で、これを取得したらどうなるのか?という話なのだが、これさえ取っておけば、基本的にはあらゆる大学にでも入学できる。

さて、バカロレアで実際に出題される問題を見てみよう。

今年の哲学の問題は次の通り。

La langage trahit-il la pensee?(言語は思考を裏切るか?)
Est-il absurde de desirer l’impossible?(不可能を望むことは非合理か?)

これは日本の小論文のように一般論として好き勝手なことを書いていいわけではない。哲学の歴史的な議論を踏まえ、4時間かけて論述しなければならない。哲学はほとんどの分野で義務になっている重要な受験科目のひとつ。高校でこういう思考訓練を徹底的に受けている国民はさぞかし手強いことだろう。

フランス式大学入試 バカロレア この問題、解けますか?: FRENCH BLOOM NET-INFO*BASE

 なんてお洒落な小論文なんだ!もちろん、哲学の歴史的な議論を交えなkればいけないとは言え、青年がうーんうーんと言いながら考えるのが大好きな問題ではなかろうか!

ただし、大学にも定員がある。その場合には、一応バカロレアの試験の得点と、住所がどこにあんの?っていうところで大学側から選考される。

つまり、「頭はそこそこ最低限できてりゃいいから、お家から近い所に通いなさいよ。どこの大学もレベルなんて変わらないんだしさ」という制度なのだ。

バカロレアマンセーもできない。

バカロレアももちろん欠点がある。というか、バカロレア自体に受験戦争らしさはないのだが、グランゼコールという大学院のようなものがフランスにはあり、こっちの受験戦争っぷりはこれまたエゲツないらしい。 

バカロレア取得者のうち、大学に進むのが80%。結局進学しないのが15%いて、グランゼコールへ進むのは残りの5%弱だけ。中でも有名なグランゼコールに進むとなれば、これは日本で東大に入るよりもよっぽど難しいということになるな。

(中略)

フランスの場合、このキャリア制度があまねくすべての職業に存在すると考えてもらえばいい。それも、官庁のみならず私企業でもだ。
 どうやったらキャリアになれるのか? そう、グランゼコールを出ればいいのよ。

 たとえば、日産CEOのカルロス・ゴーン。年8億9千万円の給料をもらっていることで話題になったが、彼はグランゼコールの中でも最上位の一つとされる「エコール・ポリテクニーク」と「パリ国立高等鉱業学校」の出身。卒業後はまずタイヤメーカーのミシュランに就職したんだが、入社3年目の27歳で工場長、31歳でブラジル・ミシュラン社の社長、35歳で北米子会社の社長になっている。もちろん本人の才能もあるんだが、こういう出世コースをたどれるのはグランゼコール出ならではだ。
 これは極端な例だが、大企業で課長以上の管理職になったり、官公庁に勤めたりしたかったら、グランゼコールを出ているというのは必須の条件なのよ。

フランス番長 日本以上の学歴社会! グランゼコールってなんなのさ

ま、とはいえこのグランゼコール、その主題は「高等職業教育機関」であり、将来立派にビジネスマンとして活躍しなさいよ、という学校なのだ。

つまるところ、「就職予備校」なんて揶揄される日本の私立大学とはわけがちがう、正真正銘、名実ともに「就職予備校」なのである。

これはこれで合理的だと思う。本音と建前がすっきりしていていいよね。